梨、りんご、「火傷病(かしょうびょう)」中国で流行のため花粉、苗木などの全面輸入禁止について
梨の火傷病(かしょうびょう)とは
火傷病(かしょうびょう)はErwinia amylovoraという細菌(火傷病菌)による植物の病気です。梨やりんごなどのバラ科植物に広く感染し、有効な防除法がない上、感染すると周辺の健全な樹木も含めた伐採が必要になる等、大きな被害を与えます。日本に発生していないため、海外から宿主植物の枝や果実などの輸入を禁止して、侵入を強く警戒しています。もし発生した場合は、火傷病を根絶するために病木を伐採して防除する場合もあります。そのため作物の出荷停止及び廃園になる可能性があります。
感染方法
花粉を介して細菌が花(雌しべ)に付着し侵入、細かい傷からも侵入し発病します。
増殖
細菌が感染すると葉、枝、幹へと広がり内部で増殖し、新梢が落葉せず萎れて枯死するなど、様々な部位で「枯れ」症状を引き起こします。
発病した新梢や葉の根本、花、果実及び「かいよう斑」と呼ばれるヒビ割れができた主枝等からは細菌泥が漏れ出て風雨や虫などで周囲に広がる。なお、かいよう斑は、火傷病菌の越冬場所となる。
枯死
地上部全体まで発病が拡大した場合には数か月で枯死に至る。
宿主範囲
バラ科ナシ亜科の多くの植物に感染する。ナシだけでなく、ビワ、リンゴ、カリン、サンザシ、シャリンバイ、ナナカマド等に感染するため、新しく苗を購入することは控える。
どうして「火傷病」は危険なのか?
- 感染した場合、治療できる薬剤がない
- 発病から枯死までの時間が短い
- 花粉等を介して園内・産地に急速に広がり、大きな減産、産地の存亡につながる
- 宿主となる植物種が多く根絶が極めて難しい
現状の対策
- 出所不明な花粉の購入・使用はしない。
- 輸入ナシ花粉の譲渡や販売(オークションサイト、ネット販売)をしない。
- 海外から宿主植物持込(穂木・苗木等)をしない。
実をつけるために必要な人工授粉用として中国で生産される花粉について現地で病害が発生し、農林水産省は8月30日に輸入停止を公表。梨の産地である千葉県は、独自に『国内への侵入を警戒している梨の病害「火傷病」(かしょうびょう)が中国で発生したことを受け、中国からの火傷病菌の宿主植物(なし・りんご等の花粉等)の輸入が停止されました。万が一、これらの花粉に火傷病菌が付着していた場合は、授粉作業を通じて、なしに火傷病菌が侵入・まん延するおそれがあるので、中国産花粉の在庫がございましたら、密閉して保存し、授粉作業に使用しないようにお願いいたします。』と発表。
関連リンク
◎火傷病のまん延を防ぐために(りんご、なし、西洋なしなどの生産者の皆様へ):農林水産省 (maff.go.jp)
◎【梨生産者のみなさまへ】中国での火傷病発生に関するお願い/千葉県 (chiba.lg.jp)
◎梨の「火傷病」 中国で発生 花粉の輸入停止で緊急対策 千葉の“ナシ”は来年“アル”のか!? | NHK
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