生産地の長野の農家さんに聞いた、シャインマスカットの値崩れについて
シャインマスカットの値崩れの事前情報
4,5年前に農業研修にて長野県を訪問して、シャインマスカット農家さんに話を聞きました。2018年頃の段階でシャインマスカット農家は全国で飽和状態のため、次は新種のルビーロマン(赤い葡萄)を始める人がちらほら出てきている。現状シャインマスカットを軸に農業を始めるのは、お勧めできないと言われました。
その後、試験的に佐渡市羽茂町でも試験的にシャインマスカットの栽培が始まりました。シャインマスカット農家さんが比較的栽培は簡単だと言っていたので、私個人も苗木を買って家庭菜園レベルで露地栽培していました。ぶどうは基本的に成長速度が早いらしく2年目にはビニールハウスに移植しました。昨年から出荷できるくらいの実が付きました。栽培において難しいのは、摘粒と種無しにする薬処理作業(ジベレリン処理)です。水稲農家さんが育苗に使用しているビニールハウスの上部にブドウ棚を作ることで簡単に栽培できます。このように農家であれば栽培を始めることは比較的簡単な作物です。
摘粒(てきりゅう)…ブドウの粒を大きく育てるために、内側の粒を切除する作業。
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今年の天候と資材費
今年の新潟県は梅雨明けまでは、ブドウの粒の肥大化は良かったのですが、8月からは晴れの日が続いて雨量が激減したことで、色付きが早くなってしまいました。生育の上でシャインマスカットの実は、緑色から黄色に変わっていくのですが、市場に出荷されるのは緑色です。佐渡の羽茂の園地で栽培されているもので、透明の袋のものは8月の中下旬の段階で黄色みが出ていました。遮光性のある袋だと色付きが遅くなります。
全国的に猛暑だった今年は、色のまわりが早くて出荷が早まった産地が多々ありました。また黄色みが出たシャインマスカットは市場では買い取ってくれない場合があるため、直売所などで安価に販売される状況になりました。あとはニュースで言われている海外輸出量が減ったなどの要因もあるかもしれません。
黄色くなったシャインマスカットは、普通に美味しいです。流通の問題で中央市場から小売りに届くまで黄色に変色しないように緑の段階で市場が受け入れてるという訳です。黄色いとマスカットが腐敗しているイメージがになるので値を付けにくいという話を聞いたことがあります。
当たり前ですが農家としては資材費が高騰している現状で、収穫物の値段が下がっているので利益が減るという問題があります。
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まとめ
- 生産農家の中ではシャインマスカットが飽和状態であることは、周知の事実だった。
- いつ値崩れするかギリギリの時に、猛暑の年により収穫時期がどこの産地でも被った。
- 市場にシャインマスカットが大量に持ち込まれ価格が落ちた。
今までシャインマスカットを食べたことない人も、今年は安価で買った。結果として翌年以降のリピーターが増え、贈答品や個人消費が増えるのではないだろうか。
ページの最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。ご参考になれば幸いです。
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