個人農家の失敗談「アスパラガス編」

アスパラガスは設備投資の分だけ、安定した生産ができるようになります。

露地栽培ですと、いろいろな天候や虫によって、一度長期間放置するとあっという間に畑の生産量が激減します。

私がやっているアスパラガスの露地栽培の失敗談をまとめていきます。

専門でアスパラガスを栽培していれば、管理はしやすいのです。しかし私のように複合経営していると適期を逃して、茎が病気になったり、畝に雑草が生えたりします。

野菜を栽培していて、雑草の繁茂は農作業の意欲を失わせる要因の1つです。

目次

【失敗】アスパラガス畑の畝が草で覆われてしまいました。

メヒシバ(イネ科メヒシバ属、メイシバメイジワと表記されることもある。)

メヒシバに占領されたアスパラガスの畝
隠されているアスパラガス(日陰だと緑色が付かない)
ヒメシバの見た目
ヒメシバの穂先の様子

ヒメシバの生態

野菜畑や公園などで初夏に元気になる1年草です。踏みつけられない場所を好み生えています。

花は7月から11月にかけて咲き、上の画像のように3~8本に分かれている穂を付けます。

茎は最初地面をはって成長し、分岐して節から発根して立ち上がります。

高温時に発生したものほど、背丈の低い状態で早くに穂をつけます。高温時に作られた種は発芽率が低下する傾向がある。

5~7月の種の発芽率よりも、8月の種の発芽率は低くなる。9月の種は越冬して春に発芽する傾向がある。

7,8,9月と2週間おきくらいに草取りをしていれば、だんだん畑の中の草と草の種は減るので、草取りを頑張ります。

よく似た植物にはオヒシバ、アキメヒシバ、コメヒシバがある。

オヒシバ(イネ科オヒシバ属、オイジワと表記されたり、チカラグサとも呼ばれる。)

オヒシバに覆われたアスパラガスの畝
オヒシバの様子、中心から分岐して茎を伸ばし、伸びた茎から根を出して地面を這う。)

オヒシバの生態

日光を好み日向に生える。背は高くならず地面を這うように大きく広がる。

根っこが強く引き抜くのがメヒシバより、難しいためチカラグサと呼ばれる。和名で「雄日芝」と書く。

穂は夏の終わりから秋に出る。穂はメヒシバよりも、ギザギザしている。

大きくなるほど除去しずらいので、小さいうちに除去することが望ましい。

アスパラガスと夏の草取りと対策

アスパラガスの畝が草に覆われることで影になり、新しくアスパラガスが生えてきても、光合成が出来ずに白いままになってしまいます。

草があることで、雨などの湿気がこもって、アスパラガスが病気になる確率も増えます。もちろん草に畑の栄養をとられたりもします。

このような問題をなくすために、畝の草取りが重要な作業になります。

1年で最も暑い時期で外に出るのも嫌になると思いますが、草取りをしないとアスパラガスが順調に生えてこないので、頑張って草を取り除きます。

朝9時前や夕方5時以降であれば、比較的気温が低いのでやりやすいです。

しかし広範囲の畑の場合は、時間がかかってしかたないので、丸1日ずっと草むしりをしていることもあります。

アルバイトの方を数日雇用して、ババっと草むしりを今年はやりました。

用意する道具は手袋、カマ、帽子、レジャーシートなど。畑に腰を降ろしたり、片膝をついたり、楽なポーズできるようにシートがあるとやりやすいです。

2時間やって、30分休憩します。熱中症対策として水分補給をしながらやります。

ほかの対策としまして、畑の周囲や通路には、除草シートや、除草剤があります。

また、通路にお米の籾殻や牛糞たい肥を敷き詰めたりする方法もあります。

除草対策に関しては、畑に適したやり方を探してみてください。

【失敗】アスパラガス畑が病気になった。

アスパラガスの茎にでる病斑(茎枯病 くきがれびょう)
アスパラガスの茎にでる病斑(茎枯病 くきがれびょう)

アスパラガスの生育中に頻繁に発生する病気のひとつに茎枯病(くきがれびょう)があります。

上の写真の中央の黒い染みや灰色の点々が病気に感染した状態です。

茎枯病の菌は、ふつうに地中に生息しています。アスパラガスの茎に雨が降った時の水の跳ね返りなどで、

菌が茎に付着し、時間経過で発病します。定期的に農薬の殺菌剤を散布することで発病をおさえたり、

畝の上に堆肥を敷くことで地面を露出させないことで発病を抑えたりします。

これはアスパラガス農家には、ポピュラーな病気です。ハウス栽培でも露地栽培でも100%発病を止めてる方はいないと思います。

茎枯病の影響について

茎枯病が発症しますと、雨の後に発症部の菌が胞子を飛ばして畑内に広がります。

その後、その発症した茎が枯れて、根のほうに菌が増殖しますと、株が丸ごと腐って枯れてしまいます。

アスパラガスは根に養分を貯めて、成長するため収穫量が目に見えて減り、

何の対策もしないでいると来年の収穫量がゼロになります。

人間が食べることには、害はありません。流通している新しいアスパラガスの芽には発病が滅多に見れません。

茎枯病の対策

(1)春のアスパラガスが発芽していない段階で、畝の上に堆肥マルチを敷く。

(2)立茎時の農薬防除を徹底する。

(3)茎に生え際の雑草や脇芽、茎に密集を避けて、風通しによい管理をする。

(4)畑のphを6~7(弱アルカリ性)にすることで、菌を抑止することもできるので、苦土石灰を年に1回は散布する。

(5)茎に病斑を見つけたら、地面際で切って茎を畑の外に運んで処分する(畑の中に置いておかない)。

(6)ボルドーなどの強めの農薬を散布する(収穫中止して、株の養成とする)。

(7)病気に強い種類のアスパラガスを選んで栽培する(ガインリム、どっとデルチェなどが耐病性に優れる)。

このような茎枯病の対策法があります。アスパラガスは9~11月に健全な茎が沢山あることで来年の春の収穫量に差が出ます。そのため茎に管理が収入に直結します。

【失敗】アスパラガス畑に雨水が溜まってしまう。

80mmの降雨の直後のアスパラガス畑の様子

アスパラガスは夏場に潅水を行い水分が畝に豊富にあるのがベストなのですが、アスパラガスの根が常に水に漬かっている状態は、望ましくないです。

そもそもアスパラガスが水田の添削用の品目として最適なのかは、はっきりしていません。

例えば、隣接する田んぼが、自分のアスパラガス畑(水田転作)よりも高い場合には、低い自分の畑に水が常に溜まった状態になることもあります。

地下水位が高いとアスパラガスの根が成長できないため、水の管理が必要になります。

畑の水捌け対策

1.明渠(めいきょ)や暗渠(あんきょ)による排水。

明渠:外部に露出している排水路のこと。開渠とも呼ぶ。側溝と同義語である。

暗渠:フタがある排水路。この畑の場合は地中にあるので見えません。

2.畑に角度を付けて、1方向に排水する作りにする。

3.籾殻、牛糞堆肥、バーク堆肥などを土と耕耘して、水捌けの良い土を作る。

隣接する田んぼからの水や地下水位は、アスパラガス畑を作る前に確認してください。

急激に水分を吸収したため先端が破裂したアスパラガス

【失敗】なんかウチのアスパラガスだけ、細いものが多い。

アスパラガスの太さは、直径1cmぐらいが普通です。細いものは直径5mm前後のものになります。

この原因については、一般的に複数の要因があります。

1.アスパラガスの苗を植えるときに、覆土が薄い場合は株が乾燥しやすいので、細いアスパラガスが出てきます。地表から10~15cmの深さに植えてください。すでに植えている場合は、株の上に堆肥や土を乗せて調節してください。

2.アスパラガスの株(地中の根)が、育っていない(成熟していない)。株の養成期間は一般的に2年です。あくまで順調に育ってのことです。台風に当たった、茎が病気になったなどの状態がありますと成長が遅くなります。そのため、細いアスパラガスが出ることがあります。

3.肥料や水分が足らない場合、アスパラガスのハカマが変形します。正三角形が正常な状態ですが、肥料や水分が不足すると二等辺三角形になります。またはハカマとハカマの間隔が詰まって、一目で変なのが分かるアスパラガスが生えてきます。

このような原因が考えられます。

ページの最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。ご参考になれば幸いです。

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