農家視点の健康アスパラガスについて

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農家視点の健康アスパラガスについて

アスパラガスについてまとめていきます。アスパラガスは各地で栽培されていますが、環境に作用されることが多いため、いろいろな品種が開発されています。

また植物学として見たアスパラガスについてもまとめました。アスパラガスに興味を持った方の参考になれば幸いです。

原産地・栽培地域

中央・南ヨーロッパ、北アフリカ、西・中央アジアに自生している多年生作物です。

日本での栽培は、北海道から沖縄までどこでも栽培しています。

アスパラガスは以前はユリ科に分類されていましたが、現在はキジカクシ科クサスギカズラ属に分類されています。

アスパラガスの形態的特性

種子

アサガオの種子に似ていて、やや小さい。種子の表面は光沢のある黒色。

茎と葉

アスパラガスの茎は、地上茎と地下茎がある。地下茎は地中にほぼ平行方向に徐々に伸びる。

その地下茎から、地上茎が上に伸びて可食部になる。アスパラガスは多年生植物で秋になると地上部の茎葉は枯れる。

地下茎と根株は地中で越冬して、翌春にまた地上茎を伸ばす。

アスパラガスの根は多肉質で太く、成株になると長さ2~3mになる。この太い根を貯蔵根と呼んでいる。

繊維質の細い根を吸収根と呼ばれているが、その区別は明瞭ではない。

花と果実

雌花と雄花ともに釣鐘状の薄い黄色の小さな花。アントシアニンが多いと紫色の花になる。

果実は夏から秋にかけて真っ赤な球状の果実がたくさんなる。直径は7mmくらい、中に3~6個の種が入っている。

アスパラガスの歴史

アスパラガスの歴史は古くて、2万年前の古代エジプトの時代に野生のアスパラガスを食べていました。

その後歴史の表舞台に出たのが、古代ローマのユリウス・カエサルが好んで食べていた記録があります。

ローマでは「アスパラギ(asparagi)」と呼ばれ、「全ての植物に先立って春を知らせる植物」という意味だそうです。

日本では江戸時代に長崎のオランダ人により伝えられて、最初に栽培・生産を行ったのは北海道岩内町の農学博士であった下田喜久三です。現在では日本各地で栽培されている緑黄色野菜です。

下田 喜久三(しもだきくぞう):冷害に強い品種改良に成功し、「日本のアスパラガスの父」と呼ばれている。アスパラガスの試作が行われた発祥の地は北海道に複数ある。

参考サイト:下田喜久三 – Wikipedia



アスパラガスの調理と栄養

アスパラガスの旬は春から初夏にかけての5月から6月です。この時期のアスパラガスは味が濃く、甘味をはっきりわかります。

採りたてのアスパラガスは柔らかく、ポロっと畑の落としただけで折れてしまうほどです。軽く湯通しすると柔らかく食べれます。

調理法は、焼いてよし、茹でてよし、蒸しても美味しく食べれます。アスパラガスをスープに入れると栄養が溶け出すので、スープを飲むことで栄養をまるごと採ることができます。

アスパラガスの茎にある三角形のハカマをピーラーなどを使って取ってから、調理するとアスパラガスの歯ごたえが柔らかくなります。ハカマと茎の下の方は硬いのでピーラーで皮をむくといいです。

アスパラガスの保存方法はキッチンペーパーを濡らしてアスパラガスをくるみ乾燥しないようにして、立てて保存すると栄養と味が落ちにくくまります。長期保存したい場合は、さっと茹でてから容器などに入れて保存してください。

アスパラガスと言えば、アスパラギン酸という旨味のアミノ酸と、アスパラギンという体内で酵素の働きによりアスパラギン酸に変化する成分を多く含有しています。アスパラギン酸はエネルギー代謝を促進して疲労回復を助けます。さらにタンパク質合成に関与し、皮膚の新陳代謝を促して美肌効果や滋養強壮の効果があると言われています。

緑色のアスパラガスにはβ-カロテン、ビタミン類(A, B1, B2, C, E)、カルシウム、鉄、亜鉛、ニコチン酸などが多く、またタンパク質、アスパラギン酸、ルチンなども含まれています。

アスパラギン酸には体内の有害なアンモニアなどを利尿作用により排泄させたり、アスパラガスの穂先などに多く含まれているルチンと共に末梢血管拡張作用を示すことから動脈硬化を予防する働きがあります。

筋トレ、ダイエットの野菜というとブロッコリー、ほうれん草、アスパラガスがお勧めです。アスパラガスは低カロリーで高たんぱくな野菜です。疲労回復効果があるのでトレーニングとの相性は抜群です。

大量に食べてもデメリットはないと思います。アスパラガスの収穫時期の私が1日に1kgぐらい食べてますが、かわらず健康です。念のためカリウムの取り過ぎが気になる方は注意してください。

アスパラガスの食べ合わせがいい品

チーズ肌に潤いを与える、目の乾きの改善、のどの傷みの緩和
ピーマン、キャベツ、
ブロッコリー、じゃがいも
風邪の予防、美肌効果
たまねぎ、鱈(タラ)動脈硬化の予防、血液をさらさらにする
鶏肉肝臓病の予防、スタミナアップ、免疫力アップ
イカ、豚肉、ベーコン、白菜疲労回復
えのき、しめじがん予防、がん予防免疫力アップ、眼精疲労に効果
にんじん、ほうれん草、しいたけがん予防、風邪予防
パプリカ紫外線予防
アボカド、ニンニク、
セロリ、オクラ
高血圧予防、心筋梗塞の予防
ツナ缶新陳代謝の効果、冷え性に効果。
ツナ缶には血液をサラサラにするDHAやEPAが多く含まれます。
アスパラガスのルチンと合わさると血行促進されます。

参考サイト:野菜のおうち。常温と冷凍保存方法解説 | 野菜の冷凍冷蔵の保存方法と保存期間と保存食をご紹介 (yasaihouse.net)

アスパラガスの一般成分表(可食部100gあたり)

成分名含有量
エネルギー21kcal
水分92.6g
タンパク質2.6g
アミノ酸組成によるタンパク質1.8g
脂質0.2g
炭水化物3.9g
ナトリウム2㎎
カリウム270㎎
カルシウム19㎎
マグネシウム9㎎
リン60㎎
0.7㎎
亜鉛0.5㎎
0.10㎎
マンガン0.19㎎
ヨウ素1μg
αカロテン5μg
βカロテン370μg
ビタミンE1.7㎎
ビタミンK43μg
ビタミンB10.14㎎
ビタミンB20.15㎎
ナイアシン1㎎
ビタミンB60.12㎎
葉酸190μg
パントテン酸0.59㎎
ビオチン1.8μg
ビタミンC15㎎
食物繊維1.8g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

アスパラガスを食べた後の有機化学的な話

アスパラガスを食べた後のおしっこは、いつもと違う匂いがします。これは嗅覚が鋭い人と鈍い人で感じ方が違います。

体内でアスパラギン酸は分解されて、メタンチオールジメチルスルフィド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンの4つになるからです。

メタンチオールタマネギが腐ったような匂い、スカンクのオナラの悪臭成分でもある。
ジメチルスルフィド磯臭さの原因となる有機硫黄化合物。海苔の香り成分。
ジメチルスルホキシド同じく硫黄化合物のため、やや磯の香がする。
ジメチルスルホン同じく硫黄化合物。血糖値低下や中性脂肪値低下の効果が報告されている。

上記の硫黄を含む有機化合物に分解され、尿として排出される。

また人間の鼻はチオール化合物に敏感なため、ごく少量でも匂いを感じることができます。

しかし、アスパラガスを食べても尿の匂いが変化しない体質の人もいます。

ある研究によれば、臭くなる人の割合は43%だったそうです。ちなみに私の場合は臭くなりました。

参考文献:『カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの? 食べ物・飲み物にまつわるカガクのギモン』、著者:Andy Brunning、訳者:高橋秀依・夏苅英昭、出版:株式会社化学同人、2018年8月10日

国内のアスパラガスの品種

ふくきたる

福島県の旧農業試験場で交配された品種。特徴として春の萌芽が早く穂先の締りはウェルカムと同等。

太さは比較的太い品種。数年栽培しても生産力が顕著に落ちず、ウェルカムと比較すると総収穫量が多い。

ふくきたるは萌芽が早いので、福島県では1、2月からビニールハウスを加温し収穫している。


どっとでるちぇ

長野県野菜花き試験場で交配された品種。特徴として、太い茎が多く立つ。

多収をアピールするための名前である。ウェルカムと比べて春どりの量が多く、斑点病に対しての耐病性がある。

しかし夏は潅水しないとウェルカムよりも収量が落ちる。

ガインリムの系統のため、オランダと似たような気温の北海道や本州の高冷地に適している。


さぬきのめざめ

香川県農業試験場で交配された品種。特徴として、萌芽が極めて早く、穂先の締りもウェルカムと比較して良好。

夏場の収量もウェルカムよりもA品が大きなる傾向がある。

アントシアニンが比較的多い品種のため、穂先が薄い緑色で根本は紫色をしている。病気の抵抗性はウェルカムと同等である。


ずいゆう

札幌の旧国立北海道農業試験場で交配された品種。特徴として、全雄型のため種を作らない(低確率で種ができる株がある)。

アントシアニンの含有量が少ない品種のため、全体的に淡い緑色をしている。北海道、東北などの高冷地に適している。

同じようにアントシアニンが少ない「りゅうりょく」という品種もある。


クリスマス特急、大宝早生

露地栽培で株を1~2年養成して、掘り出してハウス内に植え替えてハウスを加温して、萌芽させて収穫する品種。採りっきり栽培に特化している。穂先の締りが良く、太く秀品率が高い。

採りっきり栽培とは:養成した株を収穫1年目の春だけ収穫して、7月には畑をトラクターで耕して終わり。冬には種から株を養成して、また畑に植える。短年栽培のため畑に病気が蔓延しにくいメリットがある。


はるむらさきエフ

アントシアニンとポリフェノールの含有量が多い紫アスパラガスの品種。福島県で交配された。

従来の紫アスパラガスのパープルファッションよりも、秀品率が高く、萌芽日も早い。

ウェルカムと比較すると全体の収量は落ちるが、紫アスパラガスの中では収量は優れている。


しなの紫萌

長野県で交配された品種。春採りの収穫量はウェルカムとパープルファッションと比較すると多い、夏採りは他2品より少ない。

穂先の開きにくい品種で秀品率が非常に高い。味がウェルカムより甘い。


さぬきのめざめビオレッタ

香川県の農業試験場で交配された品種。紫アスパラガスの品種バーガンディーと比較すると色の発色に優れている。

バーガンディーは夏場はアントシアニンが減り緑色が強くなる。しかしビオレッタは夏場も紫色が強く発色する。

収量はバーガンディーよりも多く、ウェルカムなみの傾向がある。穂先の開きにくい品種。

国外のアスパラガスの品種

品種原産国雌雄先端部の締り備考
メリーワシントンアメリカ混合普通
ウェルカム淡緑アメリカ混合優れる袋でよく売ってる品種
グリーンタワー淡緑アメリカ混合優れる
スーパーウェルカム淡緑アメリカ混合優れる早生
ウェルカムATオランダ全雄普通
ガインリムオランダ全雄劣る耐病性、低温伸長に優れる
ゼンユウガリバーオランダ全雄優れる中生
恋むらさきアメリカ混合優れる
パープルタワーアメリカ混合優れる
満味紫ニュージーランド混合優れる晩生

※ウェルカムとガインリムが日本では比較的多く流通しています。

参考文献:『アスパラガス大辞典』、農文協編、発行:農山漁村文化協会、2021年1月25日

参考文献:『アスパラガス採りっきり栽培』、著者:元木悟、発行:農山漁村文化協会、2019年3月10日

健康食品アスパラガスを食べよう まとめ

アスパラガスを食品として見たら、とてもビタミンのバランスが良く、体に良い効果があることが分かります。

これからアスパラガスの旬が来ますので、ぜひ甘いアスパラガスを食べて健康を維持してください。

私の直売サイトでも販売を予定していますので、その際はぜひともよろしくお願いいたします。

ページを最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。ご参考になれば幸いです。

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