【棚仕立ての果樹】主幹にヒビ、主枝が折れた、雪害後の復旧方法
大雪による被害状況
新潟県で、令和4年(2022年)の冬の記録的な大雪で倒木被害がありました。
佐渡島の果樹園も同様に大雪により、産地的な規模での被害が明らかになってきました。
下記の画像のように棚仕立ての場合は雪が棚の上に積もり、下がった棚の周囲の主枝が連動して下がり、主幹で裂けてしまいます。
復旧方法
樹を直す前に下がった棚を修理します。枝と棚の結束をすべて取り除いて、太い主枝の下に支柱を入れて棚面から、主枝を浮かせます。棚に力が掛かっていない状態にしてから、周囲の隅柱や周囲柱を立て直します。そしてワイヤー、番線の引き直しをします。棚の補修が終わりましたら、樹の修復をします。
主枝が完全に折れていて、外皮だけでつながっている場合は、養水分の供給が遮断されているので修復不可能です。折れた主枝を切って切り口に塗布材を塗って保護します。
主枝、亜主枝、側枝などの大きな枝の損傷が直径の1/2から1/3の場合は回復可能です。
主枝分岐部の裂開は主幹の中心で裂けているため、養水分の供給が遮断されることがないので回復可能です。
回復は可能ですが、もちろん100%ではないので、経過状況を観察しつつ行ってください。なお数か月後、傷口が癒着したように見えても、確実に折れやすい強度になっているので注意してください。
◎棚の復旧が終わってから、下記の樹木の修復作業を実施してください。
【 樹木の修復作業手順 】
- 主幹(裂開部)の横に単管パイプなどで支柱を立て、シメラー(張線器)を使って主枝を引き上げる。
- 主枝1本ごとにレバーブロックやハイリフトジャッキを使って主枝をあげてから、支柱を入れる。
- 裂開部が接合できたら、カスガイや全ねじボルトで補強します。
- 枝の固定が出来たら、塗布材(トップジンMなど)を接合部の外側から塗ります。
- 傷口の内部が乾燥しないように、ビニールテープや肥料袋を巻き付けます。
- 傷口がくっ付いて、カルス形成(丸く膨らんだら)が出来たら、巻いていたテープや肥料袋をはがします。
開口部の内側で、木質から剥がれたサキイカみたいになってる部分は再生しないので、主枝を持ち上げる前に切除してください。この剥がれてゴワゴワしてる部分を取ることで、かみ合わせが良くなります。
この記事は主に棚作りのブドウ園の復旧方法を参考にしています。他の果樹には合わない場合もあると思います。実施する場合は個人の責任の上でお願いいたします。
ページの最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。ご参考になれば幸いです。
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