農業でよくあるどうしようもないときの心の対処方法
農業は基本的に天候に収入が左右されます。春の気温が低すぎる冷害、夏は台風が来たり、真夏の雨不足、秋には長雨、冬の大雪など、1年間厄介なイベントが目白押しです。これらは全て自分じゃどうにもできないことです。それでもどうにかやっていくのが自然を相手にしている仕事です。こういうやるせない心情を経験の浅い就農者に説明する単語は無いものかと、思ってたらありました。ネガティブ・ケイパビリティという言葉です。自分自身も解決不可能な事柄が生じたときの良い対応を模索していたので、調べてみました。
ネガティブ・ケイパビリティとは?
ネガティブ・ケイパビリティ(Negative capability)とは、イギリスのロマン派の詩人であるジョン・キーツ(John Keats)が1817年にシェークスピアの創作に対する考え方から見出し、世界大戦に従事したイギリスの精神分析学者のウィルフレッド・R・ビオン(Wilfred Ruprecht Bion)により再発見され、アメリカの哲学者のジョン・デューイ(John Dewey)が自分の哲学を説明するために、この言葉を使ったことで体系化された。意味は、「不確実なものや未解決のものを受容する能力。もやもやを維持し、その場に留まること。」
ネガティブ・ケイパビリティと生産性の関係
基本的に人間は、何事にも回答を求めるのが大好きな性質があります。思い出してみてください学校教育は、定期的にテストがあり生徒に素早い回答を常に求めてきます。問題には即回答するという性質が、善にも悪にもなることがあります。問題に直面したときに即決したことでさらに問題を大きくしてしまったり、逆に棚上げしたことで良い考えが浮かぶかもしれません。
逆に問題を解決する能力をポジティブ・ケイパビリティといいます。問題に直面したら、まず受け止めて、落ち着いて考え、解決策が見つかったら実行する。この流れが、ネガティブとポジティブの上手な使い方です。もちろん長い間解決できない問題もあります。解決せずに棚上げしたままでも大丈夫なこともあります。結果として可能な限り、良い対策を実行することを念頭に置いて生活することで生産性は向上します。
どうしよう? 例:今年は柿の色付きが遅かった
今年は9、10月の気温が高いままを維持していたので、なかなか柿の色付きが進みません。早生と在来の柿で、収穫ピークが重なってアルバイトの人手不足で柿園地の収穫が終わらない問題がありました。さらに気温が高いので害虫も活発になってます。さて、どうするかです。
この場合、先ずは害虫対策が大切になります。その後で、他の問題を対処してください。
人員確保のため他よりも高い時給でアルバイトを集めるか、色付きを早めるために反射マルチを早生と在来の園地両方に設置するか、9月の時点で出荷できない柿をもぎ落しておくか、徒長枝をしっかり落とす剪定で日当たりの良い樹形にするか、いろいろと対策はあります。園地の外周の汚れの目立つ木は収穫しても出荷できない柿なので、収穫をしないという考えもあります。
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