【有機肥料】発酵鶏糞って、結局どういう肥料なの?
ある日の農作業をしている時の雑談で、
鶏糞はアルカリ性なんだよ。鶏が卵を産むために餌に入ったカルシウムを豊富にとってるからね。それが排出されるの。
え?動物の糞尿って、基本的に酸性だと思いますよ。
本に載ってたから、正しいよ。カルシウムが豊富だから、アルカリ性なの。
という認識の違いがありました。そこで、今回は鶏糞についてまとめていきます。
鶏糞とは?
字のごとく、にわとりのフンのことです。日本では養鶏場が多いので毎日のフンを廃棄物として処理すると非常に経費がかかります。そのため肥料の原料として有機肥料業者が鶏糞を買い取ってくれています。
生鶏糞の成分は窒素が比較的多い弱酸性(ph6)の物質です。その他にも植物に必要な成分が多く含まれています。加工していない生の鶏糞は、分解されていない尿酸や馬尿酸が含まれているため酸性になります。
馬尿酸…草食動物の尿に含まれる有機酸(ph2.5~3.5)。馬の尿から発見されたので、この名前が付けられた。人間の尿に含まれている尿素よりも分解しずらい性質がある。
発酵鶏糞(鶏糞堆肥)とは?
生鶏糞を発酵させて、尿酸をアンモニアに変換させたことで発酵鶏糞はph8~9のアルカリ性になります。
冒頭の結果として、Aさんは発酵鶏糞はアルカリ性、私は生鶏糞は酸性と言っていた訳です。ちゃんと相手の話を聞こうと反省しました。
発酵鶏糞の主成分量は、その商品によってバラツキがあります。
画像の商品は、窒素、リン酸、加里、炭素窒素比がそれぞれ、2.5、7.3、5.5、10と記載されています。
例えば、他の商品では窒素、リン酸、加里、炭素窒素比が、 3.1、3.7、3.2、5.7というものもあります。
一般的に畑にいくら撒いても大丈夫で、栄養素がバランスよく含まれると言われている発酵鶏糞ですが、デメリットもあります。
栽培中の野菜や果樹に対して、10アールの畑に10袋(20kgx10=200kg)ぐらいなら問題ないのですが、それ以上の追肥をすると土中の炭素の量が急激に増えて、微生物によって土中の窒素の消費が急速に行われることにより、土壌の窒素不足になります。これは発酵鶏糞の分解速度が速い、炭素窒素比(C/N比)が関係します。
それとphがアルカリ性に過剰に傾いていることもデメリットと考えられます。苦土石灰を同じ畑に散布している場合は、半分くらいに減らしてみてください。
知人の話ですが、柿の園地10アールに対して鶏糞を20袋撒いたそうです。結果、柿の実の生理落下が増えたそうです(ほか園地との比較)。
炭素窒素比、C/N比(シ-エヌ)とは
C/N比は、簡単に言うと撒いた肥料が分解されやすさを示す値です。発酵鶏糞のC/N比10前後よりも、米の籾殻のC/N100前後のほうが分解されにくいです。
土中の微生物にとって炭素と窒素は、ご飯とカレールーみたいなもので一緒に食べます。そのため土中に多く含まれているほうが結果的に余ります。
発酵鶏糞を大量に入れるということは、C/N比が一時的(分解に1カ月くらい)にC100/N10となるので、炭素Cが大量に余ります。そのため窒素N不足になります。
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