【露地栽培で儲かる野菜?】栽培が比較的簡単な「甘とうがらし」を考える。

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【露地栽培で儲かる野菜?】栽培が比較的簡単な「甘とうがらし」を考える。

「甘とうがらし」とは?

ナス科トウガラシ属に分類されるトウガラシの変種または、栽培種で辛味を持たない品種の総称です。

「ピーマン、ししとう、パプリカ」も甘とうがらしの仲間です。

甘とうがらしも、枝になったままにしておくと、赤く完熟して辛くなります。

そのため基本的に青いうちに収穫します。

日本の産地ごとに品種が豊富にあります。基本的に可食部はピーマンより少ないが、

種が少ないのでそのまま調理できます。生食できる品種もあります。

「甘とうがらし」の品種

地方品種

京都の伝統野菜「伏見甘とうがらし(ふしみあまとうがらし)」

江戸時代の京都でも栽培されていた歴史がある。その後、。辛味の少ない優良品種の万願寺とうがらしが広まるまでは大量に産地で生産されていた。さやいんげんのような見た目で、16cmくらいの細長い形をしている。


京都の伝統野菜「万願寺とうがらし(まんがんじとうがらし)」

1989年(平成元年)に「京のブランド産品」に認定されたことで、全国に出荷されるようになり、2002年に甘とうがらしブームを作った。2018年には京都府の全産地で355tを出荷している。品種改良により、辛い果実が非常にできにくくなっている。12cmくらいのししとうのような形をしている。


京都の伝統野菜「鷹ケ峯とうがらし(たかがみねとうがらし)」

草丈が1mを超える、夏場の病気に弱いので流通量が少ないが見た目はツヤがあり、甘味が強い品種。1943年以前から栽培されていたと言われている。


ひもとうがらし、紫とうがらし

奈良県の品種で、直径5mm、長さ15cmと比較的細長い形をしている。甘味が強い品種だが、収穫が遅れると辛味がでる。夏場の病気に弱いので、奈良県では、これを元にして新品種を育成している。


かぐらなんばん

新潟県の品種で、見た目が、かぼやのような丸い形をしているのが特徴。1つの果実が60gほどになる。辛味を少し感じる品種。


栽培F1品種

甘とう美人(タイキ種苗)

ししとうの2倍くらいの大きさ(20cm前後)で、色合いが良くて甘味が強く、辛味が滅多に出ません。主な産地が高知県で、「土佐甘とう」の名前で全国に出荷されています。夏場の高温にやや弱いです。


松の舞(丸種)

果実の長さが15cmほどで太めです。和歌山県で「ねごろ大唐」の名前で特産品になっています。


福耳ジロー(サカタのタネ)

果実が20~25cmと非常に大きくなる。乾燥、高温により辛味が出ることがある。内側の種とワタに辛味があるので、調理の際は取り除く必要がある。大型品種の福耳の後継の品種にあたる。


ししピー(サカタのタネ)

ピーマンに近い品種。種ごと食べられるミニピーマン。低温だとアントシアニン(保有の色素)によって黒ずむことがある。辛味は無く、ピーマンのような味がする。

「甘とうがらし」の生産者側の利点

  1. ピーマンよりもkg単価が高い。
  2. 鳥獣被害が少ない。
  3. 品種が豊富で、栽培の選択肢が多い。
  4. 草丈が高くならないので管理しやすい。夏野菜の収入の補助役、家庭菜園などでもできる。

「甘とうがらし」の消費者側の利点

  1. 調理の際に種を取らないでも食べられる。
  2. 「ししとう」より大きく、ピーマンより小さいので調理しやすい。
  3. 「ししとう」よりも辛くない。

京都市場へのピーマンと甘とうがらしの販売量と販売価格(2018)

販売量(t)販売額(千円)単価(円/kg)産地数
ピーマン(宮城、茨城、大分など)4,1221,872,64445422
シシトウ(高知、宮城、長崎など)215212,6559887
青トウガラシ(京都、宮崎、徳島など)120156,9301,3098
万願寺トウガラシ(京都、高知など)355358,0061,0095

京都付近の地域栽培だけから、万願寺トウガラシの出荷がされているため、高いとも考えられる。ピーマンは複数の競合産地が出荷していることで価格が下がっている。

東京中央卸売市場へのピーマンと甘とうがらしの販売量と販売価格(2018)

販売量(t)販売額(千円)平均単価(円/kg)産地数
ピーマン23,65311,148,896471
シシトウ1,1261,654,3571,469
青トウガラシ
万願寺トウガラシ

東京中央卸売市場の過去のデータ項目に青トウガラシなどが単独で記載がないため、それほどの量は入ってきていないのかもしれない。

参考サイト:市場統計情報(月報・年報)|東京都中央卸売市場 (tokyo.lg.jp)

参考文献:小さい農業で稼ぐ 甘長トウガラシ 著:寺岸明彦 出版:農山漁村文化協会 2022年2月15日

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