混迷の時代、『菜根譚(さいこんたん)』から自分に合ったヒントを探す

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混迷の時代、『菜根譚(さいこんたん)』から自分に合ったヒントを探す

災害や不景気から、たくさんの問題が浮き彫りになっている昨今です。目下、農家の私の不安点は2月なのに日中の気温が15℃以上の日が続く予想です。一時的な春の気温によって、柿の芽が開きだして、また冬の気温に戻って新芽が霜害に合う可能性が春先に懸念してます。これを寒戻り、花冷えなどと言います。今年の夏も高温になる予想もありますし、新米の価格も良くなさそうです。このように未来のことを考えすぎるとネガティブなことばかりです。とりあえず、いま出来ることをやるのが良いです。それでも不安がぬぐえないので、先人の知恵を借りるため菜根譚を読んでみました。

菜根譚とは?

簡単に言うと360個ほどのアドバイスをまとめた本です。例えば「広い心を持って生きる」、「自他を見比べる」、「自分の心しだい」など個人の身近なことや、「どこにいようとも」、「何を悟るか」、「絶対の世界に遊ぶ」など仏教の悟りのようなアドバイスもあります。

この本の著者は、名前を洪応明(こうおうめい)、字を自誠(じせい)、号を還初道人(かんしょどうじん)という、元は17世紀中国の朝廷の官僚で退職後に道教と仏教の研究者になった。日本だと豊臣から徳川政権になるぐらいの時代です。この時代の皇帝がひどい政治をしていて、朝廷の官僚も派閥争いや横領賄賂が当たり前な状況だったので、正常な官僚などが心の救いを道教、仏教に頼った。

『菜根譚』とは儒学者の汪信民(おうしんみん)の言葉で「人能く菜根を咬みえば談話集、即ち百事做すべし」からとっている。『いまは、普通は実を食べる野菜の根まで食べるような逆境でも、これを耐えられたら今後どんな境遇も乗り越えられる』ということ。また譚は談と同じ意味なので、談話集のニュアンス。

菜根譚からのヒント

人たるの道を守る

人として道徳をしっかり守っていれば、もし不遇な状態になっても、それは一時的なものにすぎない。人に後ろ指刺されるようなことをして得た利は長続きしない。一時は不遇でも人の道を守っていた方が賢明である。

道徳を棲守する者は、寂寞たること一時。権勢に依阿する者は、凄涼たるこ万古。達人は物外の物を観、身後の身を思う。寧ろ一時の寂寞を受くるも、万古の凄涼を取るなかれ。

何事も控えめに

何事にも余裕をもって控え目に対応する。仕事でも功名でもトコトン完璧主義では、内から足を引っ張られるか、外から切り崩されるかして、いずれ失敗する。

事々、個の有余不尽の意思を留むれば、便ち造物も我を忌む能わず、鬼神も我を損する能わず。若し業必ず満つるを求め、功必ず盈つるを求むれば、内変を生ぜざれば、必ず外憂を召かん。

心の温かい人

気候が温暖であれば万物が育つ、寒冷ならば枯死する。人間についても同じで、心が冷たい人は幸せになりにくい。末永く幸せな人は心が温かい人。

天地の気、暖なれば即ち生じ、寒なれば即ち殺す。故に性気の清冷なる者は受享もまた涼薄なり。惟だ和気熱心の人のみ、その福もまた厚く、その沢もまた長し。

自分の心に勝つ

まず、自分の心に打ち勝とう。そうすれば、あらゆる煩悩を退散させることができる。自分の気持ちを平静にしよう。そうすれば、あらゆる誘惑から身を守ることができる。

魔を降さんとする者は、先ず自らの心を降せ。心伏すれば即ち群魔は退き聴く。横を馭せんとする者は、先ず此の気を馭せ。気平かなれば即ち外横侵さず。

やる気があれば進歩もある

暴れ馬も慣らし方によっては乗りこなせるようになる。鋳型から飛び出た金もいずれ型に収まる。人間もやる気のある人はまだいい。始末が悪いのは、だらだらとやる気の無い人たちだ。この人たちは、いつまで経っても進歩が望めない。白沙先生が言うには、「人間として欠点が多いのは恥ずべきことではない。むしろ欠点が無い人間のほうが案じられる。」これこそが達見だ。

泛駕の馬も駆馳に就くべし。躍治の金も終に型範に帰す。只だ一に優游して振るわざるは、便ち終身個の進歩なし。白沙云う、「人と為り多病なるは未だ羞ずるに足らず。一生病なきはこれ吾が憂いなり」。真に確論なり。

おわりに

いまの不況や異常気象など不可抗力な逆境を上手くやり過ごせるようなヒントを菜根譚より抜粋しました。全部で360個もアドバイスがあるので、興味を持った方は読んでみると自分に合ったアドバイスが書いてあるかもしれません。元が古い本なので、いろいろな人が解釈して書いている作品です。図書館にもよく置いてあるので、さっと読みやすいと思います。皆さんが、この逆境を乗り越えて大成することを願っています。

参考文献:決定版 菜根譚、著:守屋洋、発行:PHP研究所、2007年4月2日

参考文献:こども菜根譚、著:斎藤孝、発行:日本図書センター、2016年10月25日

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。ご参考になれば幸いです。


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