佐渡の農家が「東京で農業を始める」記事を読んで東京での就農を考える。
記事の概要
都農林水産振興財団によると、2020年度の都内での新規就農者は農家の後継ぎなども含めて46人。
このうち農家出身以外で、独立して農業を始めたのは15人。
2021年度は新規就農者67人中、農家出身以外の新規就農者は24人。
就農希望者の相談窓口となる同財団と同会議への相談件数も伸びており、
2016年度は89件だったが、2021年度は398件に達した。
東京でも農家の高齢化や後継者不足で農地は減少しており、2021年時点では6410ヘクタール。
内わけは、田んぼ223ヘクタール、畑4670ヘクタール、果樹園1450ヘクタール。
1985年(1万2500ヘクタール)の半分に減少している。
都内で生産された農産物の8割が共同直売所や農家の庭先直売等で販売されています。
東京では広い農地が確保しずらい印象だったので、まとまった生産量が少なく卸値が低いと思っていたが、直売することで価格を高水準で安定させているのだろう。レストランなどに直接卸している所もあると思う。
東京の就農の現状を調べてみる。
※上記のサイトを参考に話していきます。
農業未経験者は、技術を習得したほうが良いです。
個人農家での研修が難しい場合は、農業法人などで働きながら技術を習得しても良いです。
となると、自分が何の品目を作りたいかを考えます。
農業研修の地域を見ると都市部は農地の確保が難しいことが分かります。
区部だと、ビニールハウス(施設栽培)、コマツナ、ブルーベリー、トマトなど比較的どこでも作れる品目です。
西多摩地区は、トウモロコシ、シクラメン、キュウリ、施設栽培、露地栽培。
南多摩地区は、酪農、植木、施設栽培、露地栽培。
北多摩地区が一番研修受け入れが多いので、いろいろ作れると思います。農業体験農園、果樹(ナシ、ブドウ、キウイフルーツ、ネクタリン、プルーン、カキ、モモ、ウメ等)。
大島、八丈島などの島しょは、暖かい気候のため、南国フルーツ、花(フェニックス・ロベレニー、キキョウランなど)、果樹(レモンなど)。
東京の新規就農者の情報を見て感じること。
上記のサイトにて、新規就農者の状況を見ると、最初は2000㎡(約20アール)の畑から始めて、徐々に栽培面積を増やしたり、施設栽培(ビニールハウス)を始めたりしている。平均の栽培面積5000㎡くらいだと思われる。
販売は基本的に直売所やインターネット販売、給食センターやレストランに卸したりしている。市場に出している農家は非常に少ない。この点は、佐渡南部と比較すると真逆で、佐渡南部はそもそもの人口密度が低いのでほとんどの農作物を市場に出荷している。
直売がメインのため、お客さんのニーズに合わせた野菜や、他の農家と差別化をするために西洋野菜や有機栽培を積極的に取り入れている。この点も田舎の大規模な産地と真逆である。
作業場付の空き家や農業機械の共同利用など、農業を新規に始めるのにネックになる情報が見当たらないので、この点はどこの農業でも対策が必要だと思われる。
公益財団法人 東京都農林水産振興財団の新規就農担当さんに聞いてみた。
上記の情報を調べてから、質問を書き出して担当さんに電話で聞いてみました。この度は担当様、ご丁寧に回答いただき誠にありがとうございました。
非農家の新規就農だと、家や作業場などを用意するのが難しいと思います。農業経営の第三者継承の過去の事例はありますか?
新規就農者への農業経営の第三者継承(居抜き)の事例はありません。土地を手放す場合は、親戚に預けたり、不動産業に売ったりすることが多いです。
そうなると、農地は新規就農者が自主的に探すことが多いのでしょうか?
担い手バンクや農地あっせん事業を利用して探したり、研修先のツテなどから農地を借りることが多いです。農地を買うことはほぼありません。
農作物の販売ルートは研修先が紹介してくれるのでしょうか?
既存の農家さんでスーパーや駅前の直売所が飽和しているので、新規就農者は販売ルートも自分で探さないといけません。地域のグループ経営の直売所や給食センター、飲食店に卸している場合もあります。
田舎では想像できない状況ですね。東京の農家さんは市場にほんとうに卸さないのですか?
30年位前から、全国の産地から農産物が大量に東京に集まるようになりました。そのため出荷量の少ない東京の作物は市場価格が低いです。既存の農家さんはほとんど市場に作物を卸していません。
東京で就農する場合も地域とのコミュニケーションは大切でしょうか?
その点は、都会でも変わりないです。地域に馴染むことのできる人が良いですね。地域作業に参加したりしてコミュニケーションを円滑にすることで有益な情報が入ることもあります。
電話でお話を聞いた感想。東京では直売がメインなので、毎日出荷して収入を得るために年間20品目~40品目以上を作っている。大きな産地を違って、お客さんの声に合わせた品目を作っていることが目からうろこでした。田舎と変わらない点は、住居や作業場所などの施設を自分で用意する必要があり、住居などに対しての補助金は無い。ビニールハウスなどの施設に対しての補助金はある。一番驚いたのが直売所が飽和しているという情報でした。
東京で就農する場合のポイント
- 住居・作業場・販売先・農地を自分で探す。
- 農業機械のレンタルをやっているJAが近くにあると良い。
- 地域とのコミュニケーション。
- 観光栽培、有機栽培は難しい。
- 直売がメインなので、作物が豊作の年は価格が崩れる恐れがある。
農業に関して田舎と比較すると、そんなに変わらない気がします。
ページの最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。ご参考になれば幸いです。
コメント