【柿農家が教える柿の剪定】剪定のやり方とポイント
基本的に果樹の剪定は園地が無駄なく埋まるように枝を伸ばすのが基本です。
風通しの悪い園地や日照時間が少ない園地の場合は、日光が地表に入るくらいの空間を作ることで、
品質の良い果実を作ることに繋がります。
新潟県の柿の剪定時期は12月から翌年の3月までです。葉になる蕾がまだ硬いうちに剪定は終わらせましょう。
【柿の基本の剪定】1.いらない太い枝を切る
徒長枝(とちょうし)、亜主枝(あしゅし)に競合する枝、樹冠内(じゅかんない)に影を作る枝を切る。
主枝、亜主枝の上部から真上に生えている徒長枝は、秋の段階で全部根元から切って下さい。
春夏に徒長枝が生えるタイミングがあるので、秋冬に切らないで放置すると来年には2倍の長さに伸びます。
太さも太くなって、剪定に時間がかかるようになるデメリットしかありません。
柿の可食部だけ落下して、上の画像のようにヘタだけ残る場合があります。
ヘタの近くには必ず来年の芽があります。ヘタが枝にくっついたままだと、
春の新芽がヘタに邪魔されて真っ直ぐ伸びない場合があります。
そのため、このヘタもハサミで丁寧に切り落とします。
【柿の基本の剪定】2.剪定でどんな形に仕立てる?
2-1 主枝は何本にするのか?
佐渡南部では作業効率を考えると、主枝を2本で仕立てるのが主流になっています。
1本の木で多収が望ましい場合や30年以上の老木だと、主枝が3,4本の仕立てもあります。
2-2 主枝の高さはどうするのか?
作業する人の伸長や、柿を運ぶ運搬車や防除作業に使うスピードスプレイヤーなどの高さを考慮すると、
主枝の下を安全にくぐれる高さが最適です。私の場合は地上から2mくらいの高さに主枝を伸ばします。
収穫時には柿の実の重さで枝が全体的に下がるので、そのまえに支柱で枝を支えます。
2-3 側枝の数は、多目、少な目?
主枝も側枝も形は、二等辺三角形をイメージして剪定します。
先端の枝は45度くらいの上向きになってる枝を先端にするのが理想です。
側枝は1㎡で今年発生した1年枝(結果母枝=けっかぼし)を8~10本残します。
2-4 返し枝、上下の重なり枝を使う?
柿の木1本の収穫量を増やすためには枝を多く残すことになります。
主枝の伸びる先端とは逆に伸びてる枝を返し枝と言います。
枝を多く維持するには、返し枝や亜主枝を多く残すことで枝数を確保し多収にします。
この場合は枝が多いため、すべての実に日光が届かない、農薬がかかりにくい、作業性が悪いなどのデメリットがあります。
剪定後の枝数のことを弱剪定、強剪定と言います。残ってる枝数が少ない(強剪定)。残ってる枝数が多い(弱剪定)。弱剪定だと実が多く付くので枝が下がりやすく、強剪定だと徒長枝が多く発生したりします。
【柿の基本の剪定】3.実際の主枝の先端の剪定
基本的に主枝の先端の枝が主枝で一番高くなるように剪定します。主枝全体に養分を送るためには、先端が高いことでスムーズに養分が行き渡ります。
この先端で一番高い位置の枝は①です。①の赤の枝と黒の枝接合部が地上から3mくらいの位置にあります。
次の赤い側枝3本も位置が高すぎます。私が脚立に乗って楽に手が届く③の枝を先端にしました。
この先端の枝よりも他の枝が低くなるように剪定します。また、この先端を頂点に主枝全体が2等辺三角形のうような形になるようにイメージして剪定します。
【柿の基本の剪定】4.実際の側枝の剪定
4-1 剪定前
4-2 剪定後
【柿の基本の剪定】5.作りやすい枝の選び方
不健康な枝の理由
- 芽が1つづつ離れているが、枝が細くて芽が小さい。
- 先端の芽が双子、3個目の芽とも間隔が近い。枝が細い。
- 先端の芽が双子、3個目の芽とも間隔が近い。枝が細い。
- 先端の芽が双子、3個目の芽とも間隔が近い。枝が細いく、枝の色がこげ茶色になっている。
先端の芽が1つで、2番の芽とも間隔がある、枝も太いほうなので側枝として残す枝です。
先端の1芽を切って、側枝の成長を制御する剪定の方法もありますので、その場合は1芽と2芽の間隔は気にしないで大丈夫です。
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